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日立のメインフレーム撤退

日立のメインフレーム撤退とは
VOS3終了期限と企業が取るべき対応

日立製作所は、メインフレーム向けOS「VOS3」システムの販売を2027年11月、保守を2034年12月に終了すると公表しました。本ページでは、発表の対象と期限、利用企業への影響、移行方式の考え方、今から確認すべき項目を整理します。

結論:VOS3システムの販売は2027年11月、保守は2034年12月に終了

日立が公式に示した終了対象は「VOS3システム」です。発表と同時にシステムが停止するわけではありませんが、2034年12月以降も日立の保守を受けられる前提にはできません。利用企業は、2034年12月を検討開始日ではなく、移行と安定稼働を終えておくための期限として捉える必要があります。

※参照元URL:日立製作所 Digital Highlights|2026年5月29日公開 (https://digital-highlights.hitachi.co.jp/_ct/17842325)

日立のメインフレーム撤退で最初に整理したい3つのこと

報道では「メインフレーム撤退」と表現されていますが、日立の公式発表はVOS3システムの販売・保守終了です。自社への影響を判断するときは、見出しだけで結論を出さず、利用製品、契約、接続先を確認します。

終了対象を確認する

VOS3のバージョン、AP10000の構成、周辺製品、保守契約の範囲を台帳と契約書で確認する

業務資産まで棚卸しする

プログラムだけでなく、データ、ジョブ、帳票、外部連携、手作業、障害対応まで洗い出す

完了期限から逆算する

調査、方式選定、開発、テスト、データ移行、並行稼働、安定化に必要な期間を見積もる

END-OF-SERVICE SCHEDULE

何が、いつ終了するのか

販売終了と保守終了は同じ日ではありません。まずは公式発表の対象と日付を分けて把握してください。

表は横にスクロールできます

項目 日付・対象 企業側で確認すること
公式発表 2026年5月29日 社内の対象システムと契約窓口を特定する
販売終了 VOS3システムを2027年11月に終了 新規導入や追加更改を予定している場合は、個別条件を日立または契約先へ確認する
保守終了 VOS3システムを2034年12月に終了 移行、本番切り替え、安定化をいつまでに終えるかを決める
対象範囲 公式発表上は「VOS3システム」 周辺製品や個別契約まで一律に判断せず、構成単位で照合する

2034年12月までの稼働が一律に保証されたわけではない

公式発表から確認できるのは、VOS3システムの販売・保守終了時期です。個別契約の内容、機器構成、周辺製品の期限、部品や特別対応の条件までは一律に示されていません。自社環境の扱いは、契約書と構成情報をそろえて日立または契約先へ確認してください。

※参照元URL:日立製作所 Digital Highlights|2026年5月29日公開 (https://digital-highlights.hitachi.co.jp/_ct/17842325)
HISTORY

日立のメインフレーム事業はどう変わってきたか

今回の発表だけを切り取ると突然の方針転換に見えますが、ハードウェアの協業からVOS3終了方針の公表まで、提供体制は段階的に変わってきました。

2017年5月

日本IBMとの協業を拡大

日立は日本IBMと、メインフレーム製品のハードウェアに関する協業範囲を拡大すると発表しました。IBMのハードウェアをベースに、日立仕様の新しいメインフレーム環境を提供する方針を示しています。

2018年

AP10000の提供を開始

公式製品情報では、AP10000の従来モデルは2018年11月に出荷を開始しています。VOS3/XSは、AP10000に対応するOSとして提供されました。

2026年5月

VOS3の終了期限を公表

日立はVOS3システムの販売を2027年11月、保守を2034年12月に終了し、モダナイゼーション事業を強化する方針を示しました。

「2017年にすべて撤退した」という意味ではない

2017年の公式発表は、IBMのハードウェアを活用した日立仕様環境の提供に向けた協業です。その後もAP10000とVOS3/XSの提供は続きました。今回の転換点は、2026年にVOS3システムの販売・保守終了時期が示されたことです。

※参照元URL:日立製作所ニュースリリース|2017年5月23日発表 (https://www.hitachi.com/ja-jp/press/articles/2017/05/0523/)
※参照元URL:日立製作所「AP10000 ハードウェア」 (https://www.hitachi.co.jp/products/it/server/mainframe/ap10000/hard.html)
※参照元URL:日立製作所「VOS3/XS コンセプト」 (https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/VOS3/info/concept/concept.html)
※参照元URL:日立製作所 Digital Highlights|2026年5月29日公開 (https://digital-highlights.hitachi.co.jp/_ct/17842325)
FUTURE DIRECTION

撤退後に日立が示した方向性

日立は、VOS3終了を単なる製品終息としてではなく、AIを活用した基幹システムのモダナイゼーションへ経営資源を移す方針とあわせて発表しています。

AIエージェントを適用する工程
  • システム資産の分析・可視化
  • 要件定義と設計書の再生
  • レガシー言語からモダン言語への変換
  • データ移行とテスト
移行後の基盤で重視すること
  • データ品質とガバナンス
  • セキュリティ要件への対応
  • データのソブリン性
  • ハイブリッドクラウドを含む柔軟な構成

日立は、顧客と将来を見据えた移行計画を進めてきたと説明したうえで、モダナイゼーション事業を強化するため、経営資源をAIドリブンな事業運営へシフトするとしています。したがって、VOS3利用企業にとっては、保守期限への対応と、移行後の業務・データ活用を分けずに検討することが重要です。

AIの適用範囲と自動化率は同じではない

日立は複数工程へのAIエージェント適用を示していますが、移行の全工程を無人で完了できるという発表ではありません。本記事では、生成された仕様やコードを現行システムの挙動、業務ルール、性能、可用性、セキュリティ要件と照合し、人が承認する工程を設けることを推奨します。

※参照元URL:日立製作所 Digital Highlights|2026年5月29日公開 (https://digital-highlights.hitachi.co.jp/_ct/17842325)
IMPACT CHECK

影響を確認すべき企業・システム

VOS3を直接運用している企業だけでなく、グループ会社や共同システム、委託先を介して接続している場合も確認が必要です。ただし、サービス名だけで対象と決めつけず、契約と実際の構成から判断します。

自社への影響を確認するチェックリスト

  • VOS3またはVOS3/XSを利用しているか
  • AP10000を含む機器構成と周辺製品を把握しているか
  • 保守契約の対象、期限、問い合わせ窓口が明確か
  • 子会社や事業所が個別にホストを利用していないか
  • 共同利用型システムや委託サービスの基盤を確認したか
  • 取引先とのファイル連携、EDI、帳票連携があるか
  • 障害時の手作業や例外運用を把握しているか
  • 現行仕様を説明できる担当者が在籍しているか

共同利用サービスは契約先へ個別に確認する

共同利用型の基幹サービスでは、利用企業から基盤OSや機器が見えないことがあります。サービス名や過去の構成だけで今回の対象と判断せず、契約先へ「現行基盤はVOS3終了の影響を受けるか」「移行方針と利用企業側の対応時期はいつか」を確認してください。

※参照元URL:日立製作所「VOS3/XS コンセプト」 (https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/VOS3/info/concept/concept.html)
MIGRATION OPTIONS

日立メインフレームからの移行方式をどう選ぶか

移行先を先に決めるのではなく、残す業務、変える業務、廃止する業務を分けてから方式を選びます。全システムを一つの方式へそろえる必要はありません。

表は横にスクロールできます

移行方式 考え方 向いている状況 主な確認点
資産活用型移行 業務ロジックや既存資産をできるだけ残し、実行基盤を移す 業務変更を抑え、期限対応を優先したい 互換性、周辺製品、性能、運用方法、将来の保守性
言語変換・リファクタリング 既存ロジックを活かしながら、言語や構造を見直す 現行業務を維持しつつ、保守しやすい環境へ移したい 自動変換できない処理、テスト量、変換後の可読性
再構築 業務要件からシステムを設計し直す 業務やデータ構造も含めて刷新したい 要件の膨張、現行との機能差、移行期間中の業務継続
パッケージ・SaaSへの置換 標準機能に業務を合わせ、個別開発を減らす 独自機能を減らし、継続的な更新を受けたい 業務変更、追加開発、データ移行、外部連携、契約条件

「変換率」だけで方式を決めない

コードを高い割合で変換できても、データ、ジョブ、帳票、外部連携、運用手順がそのまま移るとは限りません。比較するときは、変換後の修正量、テスト、データ照合、並行稼働、運用設計まで含めた総工数で判断します。

HIDDEN ASSETS

移行で見落としやすい資産と要件

メインフレーム移行の対象はソースコードだけではありません。実際の業務を成立させている周辺資産と非機能要件まで確認します。

業務・運用

文書にない判断を探す

  • 例外処理と手作業
  • 締め処理や繁忙日の運用
  • 障害時の復旧手順
  • 担当者だけが知る確認ルール
データ・連携

コード外の依存を洗い出す

  • データ形式と文字コード
  • ジョブの順序と実行条件
  • ファイル、API、EDIの連携
  • 帳票レイアウトと配信経路
非機能・統制

止められない条件を定義する

  • 性能、可用性、復旧目標
  • 権限、監査ログ、証跡
  • バックアップと災害対策
  • 保守時間帯と運用体制

現行仕様書だけを正解にしない

長年の改修で、設計書と実装、実装と現場運用がずれていることがあります。ソース解析、稼働ログ、ジョブ実績、障害履歴、担当者ヒアリングを組み合わせ、現在の挙動を移行要件として確定させます。

PROJECT FLOW

2034年12月から逆算した移行の進め方

保守終了直前の切り替えを前提にすると、想定外の不具合や業務変更へ対応する余地がなくなります。安定稼働の確認期間を残し、次の順で進めます。

  1. 責任者と対象範囲を決める

    経営、業務、IT、調達、セキュリティの責任者を明確にします。対象はホスト本体だけでなく、周辺システムと接続先まで含めます。

  2. 現行資産と契約を棚卸しする

    プログラム、データ、ジョブ、帳票、外部連携、運用手順、障害履歴、機器・ソフトウェア、保守契約を一覧化します。仕様が不明な資産も除外せず、調査対象として残します。

  3. 業務ごとに残す・変える・廃止するを決める

    現行機能をそのまま移す前に、利用状況と業務上の必要性を確認します。期限対応で必ず残す範囲と、刷新によって改善する範囲を分けると、要件の膨張を抑えやすくなります。

  4. 難所を含む資産でPoCを行う

    単純なプログラムだけでなく、複雑な業務ロジック、大量データ、外部連携、例外処理を含む資産を選びます。変換率ではなく、修正量、テスト結果、処理性能、運用負荷を評価します。

  5. 移行・テスト・切り戻しを一体で設計する

    データ移行の照合方法、現新比較、並行稼働、本番切り替えの承認条件、問題発生時の切り戻しを決めます。機能だけでなく、性能、可用性、セキュリティ、監査にも受入基準を設けます。

  6. 段階移行と安定化期間を確保する

    可能な範囲で業務や機能を分けて移行し、影響を限定します。移行後の監視、障害対応、運用教育、文書更新まで完了してから旧環境の終了判断を行います。

最初の成果物は「移行計画」ではなく「判断できる台帳」

調査前に一つの移行方式へ決めると、対象漏れや見積もり差が生じやすくなります。まず、資産、業務重要度、保守期限、連携先、担当者、仕様の確かさを同じ台帳で確認できる状態をつくり、その情報から方式と優先順位を決めます。

VENDOR CHECK

日立メインフレームの移行支援会社を選ぶ6つのポイント

ツール名やコード変換の割合だけでは、移行プロジェクト全体の対応力を判断できません。調査から本番切り替え、移行後の運用まで、責任範囲をそろえて比較します。

提案依頼時に確認したいこと

  • VOS3環境と業務資産の両方を調査できるか
  • 複数の移行方式を同じ条件で比較できるか
  • コード以外のデータ、ジョブ、帳票、外部連携まで扱えるか
  • 性能、可用性、セキュリティ、監査の試験方法を示せるか
  • 並行稼働、切り戻し、移行後の運用まで支援できるか
  • PoC後に精度、修正量、総工数、費用を説明できるか

比較条件をそろえてから提案を受ける

会社ごとに対象範囲が違えば、見積金額だけを比べても判断できません。対象資産、移行方式の前提、テスト範囲、データ移行回数、並行稼働、移行後の保守を明記し、どこまでが提案金額に含まれるかを確認してください。

FAQ

日立のメインフレーム撤退でよくある疑問

日立のメインフレームは今すぐ使えなくなりますか?

今回の発表と同時に停止するわけではありません。日立が公表したVOS3システムの販売終了は2027年11月、保守終了は2034年12月です。ただし、個別システムの利用条件は構成や契約によって異なるため、日立または契約先へ確認してください。

VOS3とは何ですか?

VOS3は、日立のメインフレーム向けOSです。VOS3/XSの正式名称は「Virtual-storage Operating System 3/eXtensible System Product」で、日立のエンタープライズサーバーAP10000に対応するOSとして提供されています。

2034年12月まで待ってから移行を始めてもよいですか?

保守終了時点から移行を始めるのでは遅くなります。現行調査、方式選定、開発、データ移行、テスト、並行稼働、安定化を終え、問題が起きた場合に対応できる余裕を残す必要があります。自社の規模と複雑さに応じて完了時期を先に定め、逆算してください。

移行先は別のメインフレームだけですか?

別のメインフレームだけではありません。既存資産を活かす移行、オープン環境への言語変換、クラウドを含む再構築、パッケージ・SaaSへの置換などがあります。業務重要度、期限、変更範囲、運用体制を基準に、システムごとに選びます。

COBOLコードを変換すれば移行は完了しますか?

コード変換だけでは完了しません。データ形式、ジョブ、帳票、外部連携、例外運用、性能、可用性、セキュリティまで確認し、現行システムと移行後システムの結果を照合する必要があります。

生成AIでメインフレーム移行を自動化できますか?

資産分析、仕様書作成、言語変換、テストなどを支援できます。日立もこれらの工程へのAIエージェント適用を示しています。ただし、業務上の正しさや非機能要件への適合、本番切り替えは人が確認・判断する必要があります。

INDUSTRY CONTEXT

国内メインフレームの終了計画は日立だけではない

富士通も、自社メインフレームの製造・販売を2030年度末、保守を2035年度末に終了する方針を示しています。対象製品と期限は日立とは異なりますが、複数の企業が近い時期に移行へ動く可能性を踏まえ、支援体制の確保も早めに検討する必要があります。

他社の期限を自社へ当てはめない

日立のVOS3と富士通のメインフレームでは、製品、契約、終了時期が異なります。業界全体の傾向は参考にしつつ、自社の期限は利用製品と契約に基づいて管理してください。

日立のメインフレーム撤退対応は、終了対象の確認と現行資産の棚卸しから

VOS3システムの販売は2027年11月、保守は2034年12月に終了します。まだ時間があるように見えても、基幹システムの移行では、コード以外のデータ、ジョブ、帳票、外部連携、運用手順まで確認しなければなりません。まずは自社の利用製品と契約を確認し、移行と安定化をいつまでに終えるかを決めてください。

移行方式を決める前に、同じ条件で支援会社を比較する

既存資産を活かすのか、言語を変換するのか、業務から再構築するのかによって、必要な技術と支援範囲は変わります。対象資産、テスト、データ移行、並行稼働、移行後の運用まで条件をそろえ、複数社の提案を比較しましょう。

本メディアでは、マイグレーション・モダナイゼーションサービスの提供内容や対応領域を企業ごとに調査しています。日立メインフレームからの移行、COBOL資産の活用、オープン化、クラウド移行など、自社の目的に合った支援会社の比較にご活用ください。

目的別
マイグレーション
サービス会社
おすすめ3選
目的別
「マイグレーションサービス」
会社おすすめ3選
【目的別】
「マイグレーションサービス」
実績豊富な会社おすすめ3選

ここではマイグレーションサービスのプロジェクト実績が100件以上の信頼できる会社を厳選。その中で「レガシーシステムのオープン化」「AWSへの移行」「大規模システムの移行」という3つの目的別におすすめの会社を紹介します。

レガシーのオープン化
COBOL人材の確保なら
FPTジャパンホールディングス
FPTジャパンホールディングス
引用元:FPTジャパンホールディングス公式HP
(https://fptsoftware.jp/about-us/fpt-japan)
企業としての強み
  • メインフレーム技術者が3,000名以上在籍(※1)レガシーシステム技術者を養成するCOBOLアカデミーを通じて、メインフレームの開発体制を増強。またAIを活用し、マイグレーションの生産性を向上。
  • 200件以上のメインフレームマイグレーション実績(※2)があり、開発から保守・運用までワンストップで対応。
AWSへのスムーズな移行と
運用・サポート体制なら
TIS
TIS
引用元:TIS公式HP
(https://www.tis.co.jp)
企業としての強み
  • AWSプレミアティア サービスパートナーに認定(※3)。その他10領域の認定を受けており、信頼性の高いマイグレーションサービスを提供。
  • 500件を超える、AWSの移行実績有り(※4)。規模の大小や特定のベンダーに依存しない、柔軟性の高い運用体制を構築。
大規模システムへの移行と
実績・ノウハウなら
日立製作所
日立製作所
引用元:日立製作所公式HP
(https://www.hitachi.co.jp/products/it/appsvdiv/service/migration/)
企業としての強み
  • 自治体・官公庁・銀行などの大規模システム移行を中心に、総計110メガステップのマイグレーションに対応(※5)
  • 自社のLumada(デジタルソリューション基盤)も活用し、クラウド移行後のデータ活用やDX推進まで支援

【選定基準】
「マイグレーションサービス」とGoogle検索し表示される10社のうち、公式HPでマイグレーションサービスの移行実績が100件以上の3社をピックアップしました。(2025年8月20日時点)
※1.2.参照元:FPTジャパンホールディングス公式HP(https://fptsoftware.jp/resource-center/connect/connect-legacy-modernization)2025年8月20日時点
※3.4.参照元:TIS公式HP(https://www.tis.jp/service_solution/aws/migration/)2025年8月20日時点
※5.参照元:日立製作所公式HP(https://www.hitachi-sis.co.jp/service/system/migration/index.html