レガシーシステムのモダナイゼーションを検討するとき、最初にぶつかる壁が「手法の選択」です。リホスト・リライト・リファクター・リプレイス・リビルド——どれが自社に合うかは、システム規模・移行の目的・予算によってまったく変わります。
手法選びを間違えると、移行が完了してから「根本的な課題は残ったままだった」「追加の改修が必要になった」という状況に直面します。このページでは5つの手法の特徴を整理しています。ベンダーへの相談前に、自社の方向性を確認する材料としてお使いください。
モダナイゼーションの手法は「どこまで変えるか」で5つに分かれます。変更範囲が小さいほどコストと期間は抑えられますが、得られる効果も限定的。大きく変えるほど効果は高くなりますが、コストと期間はその分かかります。
まず全体像を把握して、自社の課題と照らし合わせてみてください。
既存のシステムを新しいプラットフォーム上で再現する方法です。オンプレミスのクラウド化や、メインフレームのオープン化などが代表例。アプリケーションソフトやデータにほとんど手を加えず移行するため、時間とコストがあまりかからないのが特徴です。
「システムのサポート期限が迫っている」「運用コストを削減したい」「外部システムと連携したい」場合などに行われます。
| 項目 | リホスト |
|---|---|
| 概要 | アプリやDBをほぼ変更することなく IaaS/仮想基盤へ移す、最小改修型【クラウド移行】 |
| 期間 | 短期 |
| 難易度 | 低 |
| 主なメリット | ダウンタイムの最小化・移行コスト抑制【2ヶ月~】 |
| 主なリスク | 根本課題は残る。将来的に追加改修が必要になることが多い |
| 向いているケース | メインフレームをまずクラウドに載せ替え、将来の再設計に備えたい |
既存のシステムと同じようなシステムを、新しいプログラミング言語やライブラリを用いて開発し直す方法です。COBOL言語をJavaや.Netなどに書き変えることで、機能はそのままにモバイルや他のシステムと連携できるようになります。
セキュリティ性が向上する点もメリットですが、開発言語のリライトは難易度が高いため、専門家の支援を受けながら進めることが重要です。
| 項目 | リライト |
|---|---|
| 概要 | 既存ロジックを保ちつつ旧言語→新言語へ書き換え(例:COBOL→Java) |
| 期間 | 中期 |
| 難易度 | 中 |
| 主なメリット | 保守人材確保・OSS化・自動変換ツールで移行作業を効率化できる |
| 主なリスク | テスト負荷が高い。コード総量が増える可能性がある |
| 向いているケース | COBOL技術者高齢化に備え、資産をJava化したい |
機能などを変えずに、不要なコードを削除したり複雑なコードを簡略化したりして内部構造を整理する手法です。誰でもわかるように内部構造を整えることで、複数人で管理できるようになります。
ソフトウェアが複雑化したレガシーシステム、運用方法に課題を抱えている企業におすすめです。
| 項目 | リファクター |
|---|---|
| 概要 | 機能を維持しながら、ソース内部構造やDB設計を整理し、保守しやすいように改善する |
| 期間 | 短期〜中期 |
| 難易度 | 中 |
| 主なメリット | 保守性・拡張性向上、CI/CD導入もスムーズに行えるようになる |
| 主なリスク | 見た目に変化がなく費用対効果が見えづらい |
| 向いているケース | 既存ソフトウェアが複雑化し、運用保守に支障をきたしている |
既存のシステムを、新しいパッケージシステムなどに移行する手法です。長年使用していた勤怠管理システムを、パッケージ化された勤怠管理システムに置き換えるケースなどがあります。
一から構築するよりコストや期間を抑えられる点がメリット。並行して抜本的な業務改革を行うことも可能です。
| 項目 | リプレイス |
|---|---|
| 概要 | パッケージ/SaaSへ機能ごと置き換え(Fit to Standard) |
| 期間 | 中期 |
| 難易度 | 中 |
| 主なメリット | 標準機能で運用負荷減、保守ベンダー不要 |
| 主なリスク | 業務プロセス変更への抵抗、アドオン増殖リスク |
| 向いているケース | ワークフローやCRMをSalesforce等へ統合 |
レガシーシステムを廃棄し、新しいプログラミング言語・フレームワーク・アーキテクチャを使って一からシステムを構築する手法です。
非常に大掛かりなプロジェクトで、時間も費用もかかります。その分、クラウドやAI・モバイルを活用したサービスの提供や、企業の競争力強化につながります。
| 項目 | リビルド |
|---|---|
| 概要 | 要件を再定義しゼロベースで再設計・再開発 |
| 期間 | 長期 |
| 難易度 | 高 |
| 主なメリット | 技術的負債を解消しDX基盤を獲得 |
| 主なリスク | 期間・費用が最大、移行期間の二重投資 |
| 向いているケース | 事業モデル変革や新UI/UXを伴う全面刷新 |
5つをまとめて比較すると、それぞれのトレードオフが見えてきます。
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| 手法 | リホスト | リライト | リファクター | リプレイス | リビルド |
|---|---|---|---|---|---|
| 概要 | アプリやDBをほぼ変更することなく IaaS/仮想基盤へ移す、最小改修型【クラウド移行】 | 既存ロジックを保ちつつ旧言語→新言語へ書き換え(例:COBOL→Java) | 機能を維持しながら、ソース内部構造やDB設計を整理し、保守しやすいように改善する | パッケージ/SaaSへ機能ごと置き換え(Fit to Standard) | 要件を再定義しゼロベースで再設計・再開発 |
| 期間 | 短期 | 中期 | 短期〜中期 | 中期 | 長期 |
| 難易度 | 低 | 中 | 中 | 中 | 高 |
| 主なメリット | ダウンタイム最小化・移行コスト抑制【2ヶ月~】 | 保守人材確保・OSS化・自動変換ツールで移行作業を効率化できる | 保守性・拡張性向上、CI/CD導入もスムーズに行えるようになる | 標準機能で運用負荷減、保守ベンダー不要 | 技術的負債を解消しDX基盤を獲得 |
| 主なリスク | 根本課題は残る。将来的に追加改修が必要になることが多い | テスト負荷が高い。コード総量が増える可能性がある | 見た目に変化がなく費用対効果が見えづらい | 業務プロセス変更への抵抗、アドオン増殖リスク | 期間・費用が最大、移行期間の二重投資 |
| 向いているケース | メインフレームをまずクラウドに載せ替え、将来の再設計に備えたい | COBOL技術者高齢化に備え、資産をJava化したい | 既存ソフトウェアが複雑化し、運用保守に支障をきたしている | ワークフローやCRMをSalesforce等へ統合 | 事業モデル変革や新UI/UXを伴う全面刷新 |
表を見て「うちはリホストかな」と感じた方もいれば、「どれもしっくりこない」という方もいると思います。じつはそこが問題の核心で、表に載っていない要素——移行後の運用体制、ベンダーの得意領域、社内の稟議スケジュール——が手法の選択を大きく左右します。
手法の選択を誤ると、移行が完了してから「根本的な課題は残っていた」「やはり再設計が必要だ」という状況になります。たとえばリホストは移行コストを抑えられますが、将来の追加改修が前提になるケースも多く、トータルで見ると割高になることがある。
自社のシステムをよく知っているのは社内担当者ですが、「コスト・リスク・期間のバランスでどの手法が最適か」という判断は、同種のプロジェクトを何件も経験したベンダーの目線がないと難しい。複数の手法を組み合わせて段階的に進めるケースも多く、その設計一つで後の工数がまったく変わります。
まず自社の課題と移行目的を整理して、実績あるベンダーに相談する。それが、遠回りしない一番の方法です。
「どの手法が自社に合うのか、一度専門家に聞いてみたい」という方に向けて、このメディアでは移行実績100件以上のベンダーを厳選しました。
レガシーのオープン化・AWSへの移行・大規模システムの移行という3つの目的別に、相談先を絞り込んでいます。自社の状況に近い会社から話を聞くのが、具体的な検討の一番の近道です。
ここではマイグレーションサービスのプロジェクト実績が100件以上の信頼できる会社を厳選。その中で「レガシーシステムのオープン化」「AWSへの移行」「大規模システムの移行」という3つの目的別におすすめの会社を紹介します。



【選定基準】
「マイグレーションサービス」とGoogle検索し表示される10社のうち、公式HPでマイグレーションサービスの移行実績が100件以上の3社をピックアップしました。(2025年8月20日時点)
※1.2.参照元:FPTジャパンホールディングス公式HP(https://fptsoftware.jp/resource-center/connect/connect-legacy-modernization)2025年8月20日時点
※3.4.参照元:TIS公式HP(https://www.tis.jp/service_solution/aws/migration/)2025年8月20日時点
※5.参照元:日立製作所公式HP(https://www.hitachi-sis.co.jp/service/system/migration/index.html)